リフォーム前に知っておきたい6つのこと

リフォームでできること

出典:令和3年度版 住宅リフォームガイドブック

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「暑い・寒い」のない快適で健康的な空間に
夏の暑さ・冬の寒さがこたえます。毎月の光熱費も高めだし…。
省エネリフォームをおすすめします!断熱性能が高まり、快適で健康な暮らしが実現します。
【省エネリフォーム】
断熱性能を高めると外気の影響を受けにくくなるので、屋内の快適性が高まり、結露やカビの発生を抑えられます。冷暖房効率が高まるため熱中症の発生リスクを減らすことができ、また、部屋間の温度差が小さくなるので、ヒートショックを予防することにもなります。さらに、冷暖房機器の使用を抑えられることで月々の光熱費も下がり経済的です。
ご存じですか?

最近の新築住宅はここまで高断熱です。
ご自宅の断熱性能はどれくらいですか?

■断熱性能のグレード(戸建住宅)

※UA値とは断熱性能の指標で、住宅内部から外皮(床、外壁、屋根(天井)、開口部等)を通過して外部へどれ位熱が逃げているかを数値で表します。数値が小さい程、性能が高くなります。同じ等級でも地域区分により異なり、ここでは6地域について示しています。

■既存住宅5000万戸の断熱性能(2018年時点)

日本の住宅の省エネルギー性能を示す基準として、国の住宅性能表示制度に基づく「断熱等性能等級」があります。新築戸建住宅は80%超が省エネ基準(等級4)に適合していますが、既存住宅(5000万戸)の多くは等級3以下、無断熱の住宅も約30%あります

※新築住宅は令和元年時点、既存住宅は平成30年度時点の数字になります。

ご存じですか?

同じ建物でも断熱性能の違いによって室温はここまで違う!

断熱性能が異なる部屋のサーモグラフ画像です。断熱性能の違いによって、窓・壁・天井付近の温度に大きな差があることがわかります。こうした差が、日々の暮らしや健康、光熱費等に大きな影響を与えます。

■断熱性能の違いによる室温比較

床と壁の下部が冷え切って、部屋の上下の温度差が著しい。

左の部屋より上下の温度差は小さいが、壁の下部や窓から冷気が伝わっている。

部屋の上下の温度差がなく、室内全体がむらなく暖かい。

出典:一般社団法人 木を活かす建築推進協議会「令和2年度 住宅省エネルギー技術講習テキスト 基準・評価方法編【第2版】」

ご存じですか?

断熱性能が低い家では、熱中症やヒートショックに注意

■熱中症救急搬送者の発生場所

夏の熱中症救急搬送者の発生場所は、「住居」が第1位で、全体の約4割を占めています。 冬の部屋間の温度差は血圧の急激な上昇・下降を引き起こし、ヒートショックによる事故につながります。

■室間の温度差がヒートショックのリスクを増やす

暖かい家は病気のリスクを減らし、健康づくりにつながります
冬季の室温について、WHO(世界保健機関)は「住宅と健康に関するガイドライン」で18℃以上(小児・高齢者はもっと暖かく)を強く推奨しています。また、室温、部屋間の温度差、部屋の中の温度差等が住まい手の健康に影響する可能性があることは近年調査結果で報告されています。住宅を断熱化することで得られる健康面のメリットは、夏の熱中症の予防や冬のヒートショックの防止以外にも多くあります。
省エネリフォーム後、起床時の血圧が低下!

室温が低い住宅に住む人ほど、起床時に血圧が高くなります。その影響は高齢になるほど大きくなります。断熱性を高めるリフォーム後は、起床時の最高血圧が3.5mmHg、最低血圧も1.5mmHg低下しました。

室温の違いは健康診断の結果に影響!

室温18℃未満の住宅に住む人と、18℃以上の住宅に住む人を比較すると、健康診断結果に大きな差がみられます。
(寒冷群:室温18℃未満の家/温暖群:室温18℃以上の家)

足元の温度は疾病・症状の有無に影響!

床上1m室温が同じでも、床付近の室温が15℃以上の住宅に住む人と15℃未満の住宅に住む人を比較すると、高血圧・糖尿病で通院している人の割合に差がみられます。
(中間群:足元室温15℃未満の家/温暖群:足元室温15℃以上の家
*床上1m付近の室温は16℃以上

出典:国土交通省「断熱改修等による居住者の健康への影響調査」中間報告(第3回)から抜粋

光熱費が下がるのも、省エネリフォームの大きなメリット!
省エネリフォームは、ランニングコスト面でもメリットがあります。家の断熱性能の違いによって、年間の冷暖房費は3倍近く違います。

出典:国土交通省「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」

こうして解決!

省エネ性能を高める3つの方法
1.高断熱・高気密化  2.高効率化(高効率設備) 3.創エネ化

自宅の省エネ性能を高めるためには、床や外壁、天井(または屋根)、窓など、主に外気に面する部分の断熱・気密性能を高めることが効果的です。
また、高効率で省エネ性能の高い設備機器や家電製品の導入によって、エネルギーの使用量を削減することができます。 さらに、太陽光発電や蓄電池を採用することで、省エネ性能をより高めることができます。

1.高断熱・高気密化 ~窓~

断熱はまず窓から ~外気の影響を受けやすいだけに効果も大きい!

窓は室内外の熱の出入りの約6、7割を占めるので、窓の断熱改修は大きな効果があります。

■窓の断熱改修例

■熱の流入出の割合

出典:一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会の資料を基に作成

1.高断熱・高気密化 ~床・壁・屋根(天井)~

床・壁・屋根(天井)の断熱で健康・快適な暮らしを!

床・壁・屋根または天井の断熱改修で、建物全体の断熱性能を高め部屋間の温度差を小さくすることができます。建物全体を工事することで断熱性だけでなく気密性も高まり、いっそうの省エネ性能の向上につながります。

■床・壁・天井の断熱改修例

床下点検口などから床下に入り、断熱材を施工する。

室内の仕上げ材を撤去し、断熱材を施工する。

天井点検口などから天井裏に入り断熱材を施工する。

2. 高効率化

設備機器の交換・追加でエネルギー使用量を削減!

家庭のエネルギーの用途別使用量は、動力・照明他が最も大きく、給湯、暖房、冷房と続きます。
このため、設備機器や家電製品を省エネタイプに交換することも家庭のエネルギー使用量の削減に役立ちます。
例えば、給湯器を高効率型に替える、浴室改修時に高断熱浴槽を採用する、キッチンや浴室の水栓金具を節湯型にするなどさまざまな方法があります。また、エアコンを高効率型に替えたり、照明器具をLEDタイプにするなど家電製品の見直しも省エネ化に効果的です。
3. 創エネ化

太陽光発電システムでエネルギーをつくる!

カーボンニュートラルの実現に欠かせないのが「創エネ」という考え方です。太陽光発電システムで電気をつくり、その電気を蓄電池で貯め、上手に組み合わせて使うことで、更に省エネ化を図れます。
太陽光発電システムや蓄電池の導入に活用できる補助制度もあります。詳細はお住まいの地方公共団体にお問い合わせください。
なお、設置を検討する際は、建物の構造や重量バランス、雨仕舞等の確認や必要に応じた対策が大切です。

■太陽光発電と蓄電池の組合せイメージ



省エネ基準とは?

2種類の基準で評価されます

現在の省エネ基準は、①屋根・外壁・1階の床・窓などの断熱の性能に関する基準(外皮基準)と、②住宅で使うエネルギー消費量に関する基準(一次エネルギー消費量基準)、2種類の基準を用いて評価されます。建物の断熱性能を高めるとともに、家庭内でのエネルギー消費量を抑えることも大切です。

基準値は地域によって違います

日本全体を8つの地域に分け、それぞれの地域ごとに基準値が定められ、寒い地域ほど省エネルギー性能の基準値が高くなっています。自宅の地域環境に応じた性能を獲得していきましょう。


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